アスリートの睡眠は一般の人と異なるのか?  

質の高い睡眠を適切な時間で確保することはすべての人にとって重要ですが、良質な睡眠という点で、アスリートである皆さんに特に当てはまる点があるのでしょうか?ラフバラ大学で教鞭を取る睡眠専門家のルリアナ・ハーテスク氏は、高いパフォーマンスを発揮するアスリートを対象にした最新の睡眠研究に携わっています。スポーツと睡眠の関係について、ハーテスク氏がいくつかの重要な質問に答えてくれました。 

  • エリートアスリートである皆さんにとって、睡眠には特に関連性の高い面がいろいろとあります。 
  • 睡眠専門家のルリアナ・ハーテスクはエリートスポーツと睡眠の関係についての研究において多岐にわたる経験を有しています。 
  • 睡眠の主な特徴とアスリートであることを研究している彼女が、最高のパフォーマンスと健康には十分な休息が必要である理由を解説します。  

睡眠は人類の進化と密接に関係しています。睡眠は体力温存という働きを全うし、起きていると消耗されてしまうエネルギーを節約する時間を確保します。また、脳を「オフラインモード」に切り替えて栄養を補給することにより、脳を回復させるという目的も果たします。睡眠は、免疫と代謝調節の面でも重要です。したがって、アスリートにとって質の高い十分な睡眠をとることは、体内のすべての器官を最適に調整する上で不可欠です。 

アスリートは一般の人よりも長い睡眠時間が必要か? 
睡眠事情は人によって異なり、ニーズも人それぞれですが、アスリートの睡眠のニーズが異なることを決定づける研究は十分に行われていません。ただ、これまで行われたほとんどの研究によれば、アスリートは彼らと同年代の正規母集団と同じ条件に当てはまる傾向が高いことがわかっています。  

睡眠がアスリートにとって極めて重要な理由は? 
パフォーマンスの面でいえば、睡眠障害や睡眠不足は無酸素性能力には大きな影響を及ぼしません。つまり、睡眠不足でもパフォーマンスはほぼ同じです。むしろ、アスリートのメンタルヘルスやモチベーションに影響が出るように見受けられます。睡眠不足は、向上する必要があることに対して、どのような努力をどの程度すれば良いのかという考えに影響を及ぼす可能性があります。さらに、瞬時の判断が求められる際に間違いを犯したり、遅れが生じるなど、意思決定やスキルの実行に悪影響がでるようです。ほかにも、些細な、または何の変哲もないことに過剰に反応することがあるかもしれません。こういった反応は往々にしてネガティブなものがほとんどです。 

アスリートは一般の人よりも睡眠障害を患う割合が非常に多いか? 
アスリート人口の37割が不眠症に悩んでいることが推定され、睡眠障害がかなり高い割合で普及していることは多くの研究が指摘している通りです。重要な点は、この割合が個人スポーツのアスリートとチームスポーツのアスリートで異なることです。また、トレーニング期間中、競技期間中、または休息期間中など、睡眠を測定するタイミングによっても、睡眠の質に大きく差が出ます。  

アスリート人口の37割が不眠症に悩んでいることが推定され、睡眠障害がかなり高い割合で普及していることは多くの研究が指摘している通りです。

競技期間中、とりわけ競技当日前夜、移動中、トレーニング時間中ではそれぞれ異なる難題があるため、睡眠障害の発生率は高まる可能性があります。そのため、アスリートの生活において、期間によっては睡眠障害リスクがピークに達し、競技やトレーニングのない期間では低減するといえるかもしれません。アスリートを一括りにして声明を出す上では慎重さを要するため、この点は重要です。  

不眠症を単なる睡眠障害ではなく、疾患として診断を下すという点については、アスリートにおける普及率に関するデータが深刻に不足しています。この分野を対象にして適切に行われた研究はごくわずかで、その割合は36%と、一般集団とほぼ同じです。 

睡眠障害はなぜ、とりわけアスリートの間で発生しているのか? 
アスリートはなかなか寝付けないという悩みを頻繁に訴えます。これは認識覚醒、または就寝前に意識を効果的にシャットダウンできないことと関連しています。移動やトレーニングのスケジュールによって睡眠が制限されることはよくあります。たとえば、競技に参加するための移動が原因となり、体内時計にとって不自然な時間に睡眠を取ることが強いられます。体内時計と本来の現地時間とを一致させることでメリットが得られるよう、睡眠が取れるタイミングを把握していることは大きな利点となり、移動前にスケジュールに組み込まれることが理想的です。 

昼寝はエリートアスリートに広く取り入れられています。昼寝により、パフォーマンスの向上のみならず、夜間に不足した睡眠の埋め合わせができます。睡眠障害や睡眠不足に対処する上でこれが効果的な方法であるか否かを見極めるため、現在、私たちはこの点を検証中です。 

睡眠障害にお悩みですか?睡眠専門家のジム・ホーン教授による、実践的でシンプルな睡眠の質を高めるガイドはこちらでご覧になれます。